special

No.12

つつい・やすたか
 1934年大阪府生まれ。SF黎明期の1960年にSF同人誌「NULL」を主宰。著作に「虚人たち」(泉鏡花文学賞)、「夢の木坂分岐点」(谷崎潤一郎賞)、「ヨッパ谷への降下」(川端康成文学賞)、「わたしのグランパ」(読売文学賞)など多数。俳優としても活動中。

煙草を戴きました

この連載を初めてまだ三カ月にもならぬと言うのに、見知らぬ方を含めてあちこちから反応があり、そんなに煙草が好きならというのでいろんな煙草を頂戴した。

まず日本たばこ産業株式会社から、これは見知らぬ方というわけではないが、以前インタヴュー取材を引受けた御礼として、八都道府県で地域限定販売をした「2004年夏の新作たばこ8ブランド12銘柄」が美しい蘇芳色の風呂敷に包まれて送られてきた。気の利いたパッケージの箱に埋められて十二箱が並んでいる。パッケージも包装も綺麗なのでまだ賞味せず眺めているだけだが、12銘柄というのは次のようなものである。レモングラス風味の「シェスタ(SIESTA)」、紅茶風味の「ゴールデンバット・ボックス」、カシス風味の「ゴールデンバット・メンソール・ボックス」、国内初の凝ったパッケージによる白・赤・グリーンの三箱はそれぞれ白が「アルファベット・R(レギュラー)・サイドスライド・ボックス」、赤が「アルファベット・H(ヘヴィ)・サイドスライド・ボックス」、グリーンが「アルファベット・C(クール)・サイドスライド・ボックス」である。あとは「セブンスター・ライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・ライト・ボックス」、「ピース・アロマメンソール・ボックス」、「キャスター・クールバニラ・メンソール・ボックス」、「ホープ・スーパーライト」である。どうです。名前を聞いただけでも喫ってみたくなりませんか。パッケージ・デザインも実に旨そうにできていて喫ってみずにはいられない。小生、賞味したいのをぐっとこらえて、煙草好きの来客に備えて置いている。どれでもどうぞと言えばさぞ迷うことであろうなあと想像すると愉快千万である。

「わたしがいつも喫っているのはこれです。おいしいから喫ってみてください」と言って葉巻を送ってきてくれた人がいる。ダンヒルの「10ミニチュア・シガー」である。喫ってみるとなるほど実に旨く、マイルドである。それでも相当に香りは強いようで、妻が驚いて「なんでまたそんなきつい煙草を」と言うが、「なあに。葉巻だからタールはゼロだ」などと言いながら、喫い続けずにはいられないのである。

Go smoking 友の会 会長の佐藤良一さんからは、「メーカーから、試してくれと依頼されている」というので「TREASURER」という煙草二種を戴いた。これもパッケージが美しいので開けるには惜しく、まだ喫っていない。

このように喫うべき煙草がどんどん増えて溜っていくのは実に楽しいものであり、なんで禁煙する気になんぞなるものか。ありがたいことである。まことにありがたいことである。あははははははは。

さらにまた、第1回目の「今月のお薦め」で書いた西武百貨店の「エヴァンタイユ」であるが、先日また妻と行ったところ、ここを読んだ人がわざわざやってきてこの欄に載っていたことを教えたらしく、店員が感謝の意味で飲食の代金をサービスしてくれた。「それは困る。来にくくなるし、今後あそこへ書けなくなる」と言って払おうとしたのだが、「上役からくれぐれも言われているので」と言ってどうしても受け取らない。わしは例によってアイス・カプチーノを飲んだだけだったのだが、空腹だった妻が紅茶と一緒にドライカレーを食べてしまっていて恐縮しきりであった。

お願いしておくが、ここに載ったからといってお心遣いは今後無用に願いたい。自由にお店を紹介できなくなるからである。


今月のお薦め

新宿伊勢丹本館5階の喫茶室
「ロイヤル・コペンハーゲン」を褒めよう!

この店は平日に行けば5階だから比較的空いている。店名の通りロイヤル・コペンハーゲンのデラックスな食器が陳列してあり、注文したものもすべてロイヤル・コペンハーゲンの食器で出てくる。わしは紅茶は飲まないが妻に言わせると「ロイヤル・ミルクティー」が絶品とのことである。もちろんコーヒー類も揃っている。

この店で痛快なのは、「店内には禁煙席はあるものの完全分煙ではないのでお断り申し上げておく」という文意の立て札が入口に立っていることだ。おお。つまり極端な嫌煙者を締め出している優れものの店なのである。愛煙家諸兄は集いてこの「ロイヤル・コペンハーゲン」へ行くべし!

※ 本部注:
このエッセイ掲載に前後して「ロイヤル・コペンハーゲン」は終日禁煙のお店になったようです。詳しくは、information をご覧ください。